NMorino Hanare

富士の麓と、欅の大木の麓に、さりげなく、暖かな居場所となるような森の離れをデザインした。
既存の邸宅には、大きな3本の欅が出迎えるエントランスがあり、石畳の小径が富士を望む本宅の玄関車寄せまでぐるりと廻り込んでいた。ゆるやかにカーブするその小径は、苔庭や雑木、悠々と枝葉を広げた木々の木漏れ日に溢れ、清らかで、日常から離れた森の様相を成している。車寄せまでの、そこを通過する距離はほんの僅かだが、非常に濃密な時間が流れているように感じた。
そんな欅と森の小径の体験を最大限享受できるよう、欅の麓に小さな居場所をつくり、小径をゆっくりと歩いて本宅と行き来できるような、動線と時間の使い方を見直すことが、本計画の始まりである。
居場所をつくるにあたっては、既存の森の雰囲気を壊さず、その場所に以前から建っていたかのような建築の在り方を考えた。
具体的には、欅の枝葉の下に滑り込ませるように一枚の大屋根を配置し、木陰に隠れる自然な色合いの天然石スレート葺きとした。大屋根を支えるための構造は、既存の門柱や外構から連続して立ち上がる石壁とし、庭との調和を図った。
また、軒先を極限まで低くすることで、背後に控える内部空間の存在感を無くし、欅と庭が主役に感じられる工夫をした。軒は角に設けられた建物入口で折れ上がることで、ポーチの役目を果たし、さりげなくも印象的な建築となっている。
内部空間は、低い軒先に加え、暖炉やティーテーブルを囲む程度の親密さを感じられる寸法体系の空間とする一方で、天窓から光の入る高い天井や、庭へとつながる大きなガラス面など、親密ながらも、広がりを感じられる空間づくりを目指した。
暖炉に薪を焚べながら森の小径を望み、その先の富士へと思いを馳せられるような、庭のなかの暖かな居場所ができた。

  • Location山梨、日本
  • Typeギャラリー
  • Total floor area125m²
  • Planning by虎尾 亮太、謝 欣芸、後藤 岳洸
  • LocationYamanashi, Japan
  • TypeGALLERY
  • Total floor area125m²
  • Planning byRyota Torao, Alice Hsieh, Takehiro Goto
  • Specialist / StructureKonishi Structural Engineers
  • Specialist / LightingDAISUKI LIGHT
  • Specialist / OthersGN setsubi keikaku
  • Locations山梨、日本 Yamanashi, Japan
  • Typeギャラリー GALLERY
  • Total floor area125m²
  • Planning by虎尾 亮太、謝 欣芸、後藤 岳洸 Ryota Torao, Alice Hsieh, Takehiro Goto
  • Specialist / StructureKonishi Structural Engineers
  • Specialist / LightingDAISUKI LIGHT
  • Specialist / OthersGN setsubi keikaku
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